LifeStyle

Dr.村中璃子のからだノート

2019/09/26

 

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ワクチンに不安に感じる日本人

 

 

子どもにワクチンを接種させない日本人は7%

今年6月、イギリスの医療系財団が、世界140カ国14万人を対象に行った「反ワクチン度調
査」のレポートを発表しました。 1位になったのはフランスでした。「ワクチンは安全ですか?」
というシンプルな質問に、「い いえ」と答えた人は33%。オーガニックのお店や商品が多いこ
とからもわかるように、フラン スでは人工的なものより自然のものを求める傾向が強いからかも
しれません。
ただ「子どもにワクチンを接種させていますか?」という質問に対しては92%が「はい」と回
答。これは世界平均の91%を上回る数字です。
一方の日本は、同じ質問に「いいえ」と答えた親が、7%もいました(「はい」「いいえ」のほ
かに「無回答」もあるので、フランス人の8%が「いいえ」と答えたわけではありません)。こ
れは、先進国中ではオーストラリアの8%に次いで世界第2位、という数字です。
この結果について同レポートは、「日本では最近、(科学的には安全性が確認されたワクチンだ
が、脳神経障害を起こすと一部の主張がある)子宮頸がんワクチン問題が、ワクチンに関する信
頼を減少させている。近年の風疹や麻疹流行も、20年来のワクチン(接種を徹底させない)政
策の不備によるもの」と、コメントしています。

 

 

広がる ‶ワクチンへの不安 ″は世界的な、健康への脅威

今年1月、世界保健機関(WHO)は「国際保健上の脅威トップ10」の1つに、‶ ワクチンへの
不安 ″を挙げました。‶ ワクチンへの不安 “、「ワクチンが手に入る状況にありながらも、ワク
チン接種を控えたり拒否したりすること」と定義されています。エボラ出血熱、インフルエンザの
パンデミックなどの明らかな脅威と並んで ‶ ワクチンへの不安 ″が挙げられたのは、史上初めての
ことでした。
背景にあるのは、この10年で最悪ペースで拡大を続けている、世界的な麻疹の流行です。WHO
は、背景には複合的な事情があるとしたうえで、原因はワクチンへの不安に伴うワクチン接種率の
低下であるとしました。また、「2019年は特に反ワクチン運動対策に取り組むことで、子宮頸
がんの撲滅を目指す」としています。
ちなみに、2016年発表の世界67カ国6万6千人を対象とした調査では、ワクチンの安全性に
不安を持つ人の世界平均は12%。第1位はフランスで41%、続いてボスニア・ヘルツェゴビナ
で28%、モンゴルで27%、その次が日本、ギリシャ、ウクライナの25%という結果でした。
つまり、日本は先進国中、フランスに次いで世界第2位だったのです。
最先端の科学と世界最高の医療制度を誇る日本が、反ワクチン度数の上位に来ていることに改めて
驚く人もいることでしょう。ワクチンの普及と抗生物質・抗ウイルス薬などの開発により、感染症
で命や健康を失う人を目にする機会が減ったことが、この皮肉な結果の原因です。今回の調査でも
前回の調査でも、反ワクチン度が高かったのはヨーロッパ・アメリカなどの先進国、低かったのは
アフリカやアジアなどの貧しく医療の整っていない地域でした。

 

 

健康的な食品で得られる「免疫力」は、「歩」程度

先ほど、フランスでは自然志向が強いと書きましたが、日本にも江戸時代から、節制と人間のもつ
本来の生命力を活性化することで健康を目指す「養生」という考え方がありました。しかし、菜食
やオーガニック食品で得られる「免疫力」と、ワクチンで得られる「免疫力」は、将棋で言えば飛
車角と歩兵くらい違います。健康にいいとされる食品には、「最近、なんだか体の調子がいい」と
いう、よくテレビCMで耳にするような状態を手助けする効果はあるかもしれませんが、特定の病
原体をターゲットにして攻撃し、命を脅かす病気の発症や重症化を防ぐ効果はありません。
体によい生活習慣や食生活は、健康を保つための基本です。健康的な生活習慣や食生活で体調を整
えることと、ワクチンで病気から体を守ることは両立します。誤った情報に惑わされず、両方を
しっかり取り入れて、自分と家族の健康を守りましょう。